既約な非負行列に対する正の固有ベクトルは,Frobeniusの諸定理により
その存在と一意性について保証されている。AHP,ANPのウエイトに対しても
これらの定理によって,その存在と一意性が保証される。
Frobenius' min-max定理は,ある2つの最適化問題の最適解がAHP,ANPの
ウエイトであることを意味する。本発表では,AHP,ANPの評価行列が
複数存在する状況下でのウエイトに対して,min-max定理から得られる最適化問題を
拡張したmaxmin線形分数計画問題を考える。発表では,
1) Frobenius' min-max定理の拡張
2) maxmin線形分数計画問題に対する鞍点定理
3) maxmin線形分数計画問題に対するアルゴリズムの提案とその有限収束性
を示し,一対比較行列,クロス効率値行列を模した数値データによる実験から
4)提案するアルゴリズムはShaible等のアルゴリズムより計算効率がよい
ことを紹介した。さらに,生産量決定ゲームの均衡解とmaxmin線形
分数計画問題の最適解が一致することも紹介した。