平成10年度10月 RAMPの案内
- 日時:10月17日(土) 14:00 〜 17:00
- 場所:上智大学10号館3階322号室
- 発表1:山下信雄氏 (京都大学数理工学専攻)
- 『単調な非線形相補性問題に対する近接点法』
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本発表では、単調な非線形相補性問題(NCP)の解法として、
「再定式化のアプローチ」、「一般化ニュートン法」、「近接点法」
の3つの手法を組み合わせたアルゴリズムを提案し、その収束性について考察する。
NCPは、等式と不等式のシステムによって構成された問題であり、
そのままの形で扱うことは難しい。
そこで、まず、「再定式化のアプローチ」を用いることによって、
この問題を解きやすい等価な方程式系に変換する。
ただし、このような方程式系を与える写像は一般に微分不可能である。
このため、微分不可能な方程式系に対する「一般化ニュートン法」
を用いて、その方程式を解く。この「再定式化のアプローチ」と
「一般化ニュートン法」の組み合わせた手法は、
これまでに多くの研究者によって提案されてきている。
しかしながら、それらのアルゴリズムが超一次収束するためには、
NCPが扱う写像にある種の正則性の仮定が必要とされていた。
今回の発表ではこの正則性の仮定を外すため、
上記の手法に「近接点法」を組み合わせた手法を提案する。
近接点法は、正則化された部分問題を解くことによって、
次の反復点を求める手法である。
非退化の仮定のもとで、このアルゴリズムが超一次収束することを示す。
今のところ、非退化の仮定を取り除くことはできていない。
その理由について述べ、合わせて、将来の展望を話すつもりである。
- 発表2:茨木俊秀氏(京都大学数理工学専攻)
- 『NP困難問題を解く実用的アルゴリズム:現状と課題』
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NP困難問題は、困難ではあるが、複雑さのクラスの中では比較的
下位に属し、種々の近似アルゴリズムを適用することができる。実際、
最近の、メタ・ヒューリスティクスの進歩によって、実用的には比較的
扱いやすいとの認識が広がりつつある。今回は、当研究室のアルゴリズム
開発を中心に、種々の問題に対する計算結果を紹介するとともに、
今後の課題、とくに理論的研究の必要性について触れたい。
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